[キヤノン] Kwanon | Film Cameras | 1934
「Kwanon」という名前の日本製35mmレンジファインダーカメラのプロトタイプに関する広告が1934年6月に『朝日カメラ』誌に掲載された。この広告は、キャノン株式会社の前身である精機光学研究所(Precision Optical Instruments Laboratory)によって出されたものである。精機光学は、五郎吉田(1900-1993)が構想したKwanonの開発を始めたものであり、ドイツのライカやコンタックスがすでに高級35mmカメラの確立したメーカーであった一方で、吉田は日本製の理想的な35mmカメラに対する夢を追い求めていた時期であった。
Kwanonカメラは4つのバリエーションがあったと言われているが、現在は存在しないと考えられている。吉田は慈悲の女神である観音に対する信仰を持っており、「Kwanon」という名前はこの女神の名前に由来している。カメラと共に提供されたレンズの名前は、マハーカシャパに由来する「カシャパ(Kasyapa)」であり、深い意味を持っている。